アルファ留学からのお知らせ

代表ブログ

2017年09月15日

1クラスの生徒数を国際比較すると・・・

本日の読売新聞朝刊、社会面に掲載されていた「学ぶ 育む」という記事の中で、OECD(経済協力開発機構)の「1学級の児童生徒数」という統計が紹介されていました。こういう統計はあまり見たことがなかったので、興味深く見たところ、いくつかの発見がありました。まず、OECD加盟国の平均が1クラスあたり小学校では21人、中学校では23人でしたが、日本の平均は小学校が27人、中学校が32人でした。OECD加盟国中、日本はどちらも2番目に人数が多いようで、小学校ではチリの30人、中学校ではトルコの34人の次になります。新聞で紹介されていた統計は、恐らく紙面の都合で1部分だけでしたので、ここに紹介されていない英語圏のデータを調べてみましたら、以下の通りであることが判明しました。

小学校

日本 27人(全体)、29人(私立校のみ)

イギリス 25人(全体)、14人(私立校のみ)

オーストラリア 24人(全体)、私立校のデータなし

ニュージーランド データなし

アメリカ 21人(全体)、18人(私立校のみ)

カナダ データなし

 

中学校

日本 32人(全体)、33人(私立校のみ)

アメリカ 27人(全体)、20人(私立校のみ)

ニュージーランド 25人(全体)、21人(私立校のみ)

オーストラリア 24人(全体)、私立校のデータなし

イギリス 19人(全体)、11人(私立校のみ)

カナダ データなし

 

小学校においては、全体的な統計ではそれほど大きな開きは見られませんが、私立校においては、アメリカやイギリスの学校が少人数であることがよくわかります。特にイギリスは日本のほぼ半分の人数です。

中学校になりますと、人数の開きはもっとおおきくなります。特に私立校で比較すると、最も少ないイギリスは何と日本の3分の1という徹底した少人数クラスです。高校になると開きが更に大きくなることは容易に想像できますが、残念ながら信頼できそうなデータが見つかりませんでした。

すでにお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、他の国々と日本とがはっきり異なっている点が実は1つあります。他の国々では、程度の差こそあれ私立校だけを見るとどの国も1クラスの生徒数が全体の数より少ないのですが、日本だけは、小学校、中学校とも私立校のほうが人数が多いのです。何倍もの高い学費を支払っていながら、どうして1クラスの生徒数が多い私立校へわざわざ入学させるのか?きっと他の国々の保護者は理解に苦しむでしょうし、自分たちの国でそんなことがあれば、わざわざ私立校へは入学させないでしょう。

何故このような差異が生まれるのか?それは各国の大学の入試方法の違いと教育に対する考え方が、日本と諸外国とでは根本的に異なっているからではないでしょうか。日本も諸外国も一流と呼ばれる大学へ進学するのは簡単ではありません。そして、わざわざ高額な学費を支払って私立校へ入学させる以上、一流大学へ進学させて欲しいとの期待を親が持つのは日本も諸外国も一緒です。けれど、日本では今だに昭和の頃とあまり変わり映えしない暗記中心のクイズのような入試が行われ、それに対応した教師から生徒への一方的な知識の伝達が中心の授業が主流であるのに対して、諸外国、特に欧米の一流大学では基礎学力がしっかりあることに加えて、どのくらい魅力的な個性やオリジナリティを有しているかということが高く評価されますので、高校や中学ではそういう点を出来るだけ伸ばせるよう、授業は双方向の討論や発表形式およびレポートやポートフォリオが重視されるのです。そのため、そういう授業を高い質で維持するためには、出来るだけクラスの人数を少なくする必要があるのです。その分の費用を負担するわけですから、私立校が高額であっても仕方がないと欧米では理解されるのです。

 

 

 

ページの先頭へ