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2016年09月30日

言葉と文化の壁をどう克服したらよいか? ー文化の壁ー

前回は言葉の壁を克服する方法について述べましたので、今回は文化の壁を克服する方法についてまとめてみます。

 

ほとんどの日本人が体験する文化の壁とは何か?

高校留学をしている人たちの成績レポートを見ると、一部の例外を除いて必ずと言ってよいほどPolite と Quiet という単語を見ることができます。Polite は、「礼儀正しい」という意味の誉め言葉ですから全く問題ありません。Quiet も、辞書では「物静かな」という意味なので、やはり誉め言葉だと解釈される人が多いのですが、必ずしもそうとは言えないのです。これは文化というよりも教育方法の違いなのかもしれません。日本においては授業中静かに先生の話を聞くことが一般的には良い事だと思われています。小学生の頃は活発な発言もあり、かなりにぎやかだった教室の風景も中学生や高校生になると生徒からの自発的な発言や質問などはあまり見られず、先生の一方的な講義を黙って聞き、時折黙々と板書をノートに写すという風に変わるのが一般的ではないでしょうか。日本において授業中に生徒が声を出すとしたら私語を交わすくらいで、それはもちろん大罪ですから、そんなことをするくらいなら、たとえ発言などしなくても「物静かな」生徒は良い生徒だとみられがちです。少なくとも生徒が「物静か」であることで先生から注意を受けた経験のある人はいないでしょう。

しかし、欧米の学校では生徒たちは自由に発言しますし、先生方もその発言を基に授業を組み立てていきますので、生徒の発言に、それがどんなにユニークなものであっても、いやユニークなものであればあるほど、大いに期待をしているのです。成績レポートの中で、しばしば Contribution という語を見かけますが、 この語の辞書的な意味である「貢献」とは、この場合、簡単に言えば「授業中の発言」のことなのです。つまり、発言をすることが授業に貢献をすることなので、ただじっと黙っているQuiet は、授業に何の貢献もしていない、あるいは、授業に積極的に参加していないという意味にもなり、決して誉め言葉ではないのです。

日本には昔から「言わぬが花」とか「不言実行」あるいは「以心伝心」というような諺があるように、口に出して言うことはあまり良い事とは思われていない文化があります。諺というと古臭くて若者とは無縁と思われるかもしれませんが、若者たちも、KY (空気を読む)という語をよく口にするように、知らず知らずのうちに物言わぬことを良しとする日本の文化が染みついているのです。確かに英語が良くわからないから、Quiet にならざるを得ないという面もあるかもしれませんが、実はかなり英語ができるようになっても、成績レポートにはQuiet だとずっと書かれ続ける日本人留学生も多く、これは単に言語の問題ではなく、文化の壁であると認識すべきでしょう。それに加えて、子供のころからゲームに没頭してきた人は、そもそもコミュニケーションを取ること自体が苦手なので、文化だけでなく個人のパーソナリティが原因となっている場合もあるので、克服するのはなかなか容易ではないようです。でも、授業中の討論会での発言やプレゼンテーションでの発言なども評価の大切なポイントなることも多いので、克服していかなければなりません。

 

日本人であることを一時的に忘れる

言葉の壁を克服するような特効薬はなかなかないのですが、一つの有力な方法としては意図的な意識の転換が挙げられます。具体的には、留学している間は一時期意図的に日本人であることを忘れるということです。日本の文化が良くないから捨てる、というのではもちろんありません。「郷に入らば郷に従」うために、一時的に自分の中を空にして留学先のコミュニティの空気に同調するように努めるのです。

私たちは留学前のオリエンテーションで、「田中太郎君(仮名)という名前と人格は日本の空港に置き去りにして、留学先に着いたら、Taro Tanaka に生まれ変わった気持ちで、失敗や過ちを気にせず自分の意見をどんどん発言し、分からないことがあれば恥ずかしがらずにどんどん質問していきましょうね」と言って留学生を送り出しています。

留学先では誰もこれまでのあなたの事を知りません。ですので、どのような自分を演じてもそれを不自然だと感じて非難する人はどこにもいないのです。このような機会ですから、これまでの自分の殻を破り、日本人として染みついた行動パターンを意図的にガラッと変えてみるとうまくいくかもしれません。もちろん、だからと言って世界でもまれにみるPolite な日本人的美徳まで捨て去ってはいけませんが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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