高校留学の基礎知識

高校留学で失敗しない為に

1.海外へ行けば誰でも自然に英語を話せるようになる?

アメリカやイギリスなど英語を母国語とする国へ留学をすると、英語が当然うまくなると誰でも考えます。皆さんの周囲にもネイティブ並みに英語が話せる人がいて、そういう人たちから「アメリカで3年間高校留学をしていた」、とか、「小学生のころから高校生まで親の海外勤務の関係で何年もイギリスで暮らしていた」などというような話を聞いたことがあるかもしれません。そして実際、私どもから高校留学をして帰国した人たちの多くは英語を上手に話せるようになっています。しかし、もし、皆さんが英語圏へ1年間なり、2年間行きさえすれば、極端な話そこの空気を吸って帰ってくるだけでも英語は簡単に身に付くものだ、と考えていたとしたらそれは間違いです。逆に言いますと、過ごし方によってはせっかく留学しても英語が思ったより伸びなかったという人たちが少なからずいるということなのです。

英語が上達しない人たちは大きく分けて2通りあります。一つ目はある程度想像がつくと思いますが、現地へ行ってからも学校では他の日本人留学生とばかり交流し、寮やホームステイ先でもメールやスカイプで日本の友人たちとのコミュニケーションにばかり時間を割いている人たちです。わざわざ海外へ留学してなんてもったいないことを、と思うかもしれませんが、英語力に自信が持てず、不安や孤独感が募るとついつい一番気楽なストレス解消法ー日本語で気晴らしをするーの誘惑に負けてしまう人もいるのです。

2つ目は英語力をつけるためにはともかく勉強するしかない、と考えてひたすら机にしがみついてガリガリ勉強をしている人たちです。もちろん、宿題や課題、あるいはテスト勉強で否応なしに机にしがみつかなくてはならない場合もたくさん出てくるでしょうし、勉強をすることはもちろん悪いことではありません。しかし、中には帰国後のことを考えて日本から持参した参考書を勉強したり、帰国生受験向けのテスト問題を並行してやっている人たちもいます。こうなるとそれこそ一日中机に向かってばかりいて、せっかく留学したのに、現地の生徒やホストファミリーとしっかり交流する時間がとれませんから、読む、書くという力はついても、日本人が昔から苦手とされてきた英語によるコミュニケーション能力はなかなか向上しないのです。

このように、せっかく高校留学をしても、現地での過ごし方いかんでは、英語を流暢に話せるようになるとは限らないのです。では、どうすれば、英語を流暢に話せるようになるのか? もう皆さまはお分かりのことと思います。そうです、現地の生徒やホストファミリーとしっかり交流する、つまりネイティブスピーカーと出来るだけ多くの時間話をするのが一番の方法です。しかし、闇雲に話しかけていってもなかなか会話は続きませんし、相手にしてもらえないのが現実です。特に英語が上手くしゃべれない間は。そのため、挫折してしまって中には日本人留学生とばかり交流したり、引きこもってネットばかりやってしまうという人が出てくるのです。そうならないためには、工夫をしてネイティブと友達になることです。例えば、自分が得意のスポーツや音楽などの活動を通じて友達を作った人もいますし、あるいは日本のアニメに興味を持っているネイティブの生徒とアニメの話をきっかけに友達になったという人もいます。いずれにせよ、ほんの少しの創意工夫や機会を逃がさない積極さ、そして忍耐が必要ですが、そういう心掛けがなくただ漫然と時を過ごしていたのでは、せっかくの高校留学を生かせませんので注意しましょう。

2.留学に必要な環境とは?

中学校時代に不登校気味だったSさんはある時保護者と一緒に、不登校の生徒ばかりを取り扱っているある留学団体に相談に行きました。すると担当者から、不登校の人にはニュージーランドの学校が一番です、特に自然環境が抜群に良いところがいいでしょう、との理由で片田舎にある学校を強く勧められるまま、結局そこに留学することにしました。確かに周囲を牧草地に囲まれた緑豊かな自然環境と、羊たちがのんびりと草を食む牧歌的な雰囲気は、ストレスと全く無縁の理想的な場所に思え、この分なら留学生活を楽しく送れるに違いないとSさんは感じたそうです。しかし、実際に留学生活を始めてみると、その学校(中学・高校)は留学生を受け入れた経験が乏しかったせいか、ESOL(留学生を対象とした英語の補習授業)が不備であることが判明しました。そして、英語にまったく自信がないのに最初から現地の生徒と同じ授業ばかりを受けさせられることになったSさんは、ちんぷんかんぷんだったため、すっかり自信をなくしてしまったそうです。結局S さんは当アカデミーが紹介をしたESOLのよく整った学校へ転校をし、そこで自信を取り戻すことができたので、少し遠回りしましたが、途中で挫折することなくしっかり卒業することができました。

「現地へ行けば英語はすぐに上達するから心配ない」と人は簡単に言いますが、高校の授業では光合成の仕組みや微積分、議会や憲法などかなり高度な内容を英語で説明を聞いたり、レポートを書いたりしなくてはならないのですから、それがどんなに大変であることは容易に想像できるでしょう。留学生を多く受け入れている学校は、その辺のことをよくわかっているので、ESOL(国によってはESLとかEFL、あるいはEALとか言います)の教室を校内に設置し、みっちり英語および本科の準備クラスを提供しているのです。英語圏の中学や高校へ留学する場合、とにかく英語が基本です。ごく一部の例外を除けばほとんどの方の英語力は授業についていくには不十分です。英語力が不十分ではよい成績を上げられないばかりでなく、また、ESOLがあっても、その内容や実態はまちまちです。どの程度の英語レベルを対象としているか、よく調べてから入学しないと、最初から大変な苦労をすることになります。

ただ、本人に前向きな姿勢があればチャンスを与えてくれる学校もたくさんありますので、その中からご自分の条件や希望に合う学校をきちんと選択さえできれば問題ありません。

高校留学失敗という事態だけはどうしても避けたい事です。そのためは、たくさんの高校留学成功の要素がありますが、以下のポイントが重要です。
 
1. 本人が望んだ高校留学であること

2.自分の能力や適性、希望等にマッチする留学先をきちんと選ぶこと

3.日本での行動パターンや考え方にこだわらないこと

4. 現地の生徒と友達になること

5. 日本の家族や友人との連絡を当面控えること

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